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鉱物の硬度表である“モース硬度”とは

ダイヤモンドをはじめ、鉱物の硬さを測る指標として硬度表が用いられます。硬度表では“モース硬度”と呼ばれる基準でダイヤモンドやルビー、水晶などの硬さを数値化しています。婚約指輪などに使われることが多いダイヤモンドはモース硬度が最高値の10であるとされ、その硬さから愛を表現する宝石として知られています。しかし、このモース硬度が示す硬さが、衝撃への強度を示しているわけではないということをご存じでしょうか。

ここでは、モース硬度についての概要とダイヤモンドの硬さ、愛の宝石とされる所以についてご紹介します。

モース硬度の生みの親“フリードリヒ・モース”とは

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モース硬度の生みの親は、ドイツ人鉱物学者である“フリードリヒ・モース”という人物。フリードリヒ・モースは、鉱物がひっかきや摩擦にどれだけ耐性があるのかを研究し、1822年にモース硬度を考案しました。
元々、すべての鉱物の硬さは平等ではなく、成分などの違いから各々異なるということは知られていました。しかし、それを確かなものにする術を開発したのがフリードリヒ・モースだったとされています。

フリードリヒ・モースは、婚約指輪でもおなじみのダイヤモンドを含む10種類の鉱物を、ひっかきに対する耐性(硬さ)順にランク付けしました。硬度1のタルク(滑石)から硬度10のダイヤモンド(金剛石)までに整数の番号を設定し、硬度を測定するための基礎を作り上げたのです。モース硬度には、ランクが1~10までしか設定されていません。そのため、同じ5のランクであっても硬さが同一とは限りません。

たとえば、モース硬度が同じランクである2種類の鉱物(仮にA・Bとします)があり、AはBに傷をつけることができ、BはAに傷をつけることができないとします。そうすると、たとえモース硬度が同じランクであっても、AのほうがBよりも硬い鉱物だということになるのです。

鉱物学者は、すべての鉱物を比較するための目安となる手段を必要としていました。そのため、このモース硬度は当時の鉱物学者にとって画期的ともいえる研究だったとされています。
くわえて、フリードリヒ・モースは結晶の研究にも貢献しています。フリードリヒ・モースが携わった研究成果は、19世紀の科学者たちの基盤となり、さらなる応用や発展に使われたのです。
これらのことから、フリードリヒ・モースは今日の地質学・科学の発展に大いなる貢献をした、有能な鉱物学者であったといえます。

ダイヤモンドの硬度=強さではない

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硬度とは、物質の硬さの程度を表すもの。物質の硬さは、別の物質とこすり合わせることで知ることができます。この方法により、ダイヤモンドが最も硬い物質であることが証明されました。しかし、この硬さを“鉱物の強さ”と勘違いしている方は少なくありません。

たとえば、ダイヤモンドはほかの鉱物に傷を付けられるほど硬い鉱物ですが、ハンマーなどで強く叩くと割れてしまいます。これは、硬いものほど衝撃に対して弱いという性質があるためです。簡単にいうと、粘土のような柔軟性がないため、衝撃を和らげることができないのです。これらのことから、モース硬度10のダイヤモンドはひっかきに対する耐性が強く、衝撃を加えると割れてしまう鉱物ということになります。

ちなみに、割れやすい・割れにくいという指標は、“靭性”という全く別のもので評価されており、この靭性でのダイヤモンドの評価は7.5。これは靭性8のルビーやサファイヤよりも割れやすいことを示しています。

ダイヤモンドが愛の宝石と呼ばれる理由

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ダイヤモンドは、愛を象徴する宝石とされています。婚約指輪などにも多用されており、女性からの人気がとても高いのです。最近では、ダイヤモンドの婚約指輪とシンプルな結婚指輪を重ね付けする方も増えており、ラザールやカルティエ、ハリー・ウィンストンなどからファッション性に富んだ婚約指輪が多数登場しています。

婚約指輪や結婚指輪にダイヤモンドが選ばれる理由は、ダイヤモンドが持つ意味が関係しているといえます。ダイヤモンドには、“変わらぬ愛”や“固い絆”、“清浄無垢”という意味が込められています。また、その透明な輝きや左右対象のカットはピュアな心を表しているとも。相手に対して裏表がない、または虚偽がないという紳士な気持ちが表現されているダイヤモンドは、まさに愛を象徴するに相応しい宝石だといえます。

くわえて、ダイヤモンドの硬さもまた、愛に結びつく意味が込められています。傷が付きにくく、ちょっとのことでは亀裂が生じることのないダイヤモンドには、“悪い縁を断ち切り、固い絆で結ばれる”という意味があります。ダイヤモンドの語源にもなった“アダマント”というギリシャ語に、“征服されざるもの”という意味があることから護符の働きをしてくれるともいわれています。ダイヤモンドの婚約指輪は、2人の愛を守ってくれているのかもしれません。

このように、ダイヤモンドには愛に関係する意味が多数込められており、2人の愛を見守るに適した宝石だといえます。愛の証である婚約指輪や結婚指輪に、ダイヤモンドが使われているのもうなずけますよね。

たった1人だけに、この世で唯一の愛を贈る

モース硬度が考案されてから、もうすぐ200年。その間にも、ダイヤモンドは婚約指輪や結婚指輪などに姿を変え、多くの方の愛を誰よりも身近で見守り続けています。たった1人に贈る愛の証に、ダイヤモンド以上に相応しいものはないのかもしれません。
ダイヤモンドは世界で1番硬い鉱物ですが、打撃などの強い衝撃には弱いもの。愛の証が砕けてしまわぬよう、婚約指輪や結婚指輪の扱いにはくれぐれもご注意を。

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