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吸い込まれるような緑色。ドレスデン・グリーンの歴史に迫る

婚約指輪に装飾する宝石でもっとも人気が高いのは、ダイヤモンドです。「婚約指輪の定番」ともいえるダイヤモンドには、無色のものと色付きのものがあります。無色のダイヤモンドに何らかの外的要因が影響し、色付きダイヤモンドが生成されるのです。

色付きダイヤモンドの中でも緑色をしたグリーン・ダイヤモンドは、地中で自然の放射線を浴び続けることによって生成されるといわれています。そんなグリーン・ダイヤモンドの中でも世界的に有名なのが、ドイツの至宝「ドレスデン・グリーン・ダイヤモンド」です。今回は、グリーン・ダイヤモンドの象徴である「ドレスデン・グリーン・ダイヤモンド」の歴史と、その詳細についてご紹介します。

 

ドレスデン・グリーン・ダイヤモンドの歴史

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後に「ドレスデン・グリーン・ダイヤモンド」と呼ばれることになるグリーン・ダイヤモンドは、18世紀前半に発掘されました。発掘場所は明らかにされておらず、南インドかブラジルが有力とされています。その後、このダイヤモンドは、ロンドンでダイヤモンド商人を営んでいたマーカス・モーゼスにより購入されます。彼は、購入したグリーン・ダイヤモンドを時のイギリス国王「ジョージ1世」に売却しようと試みますが、断られてしまいます。ちなみに、その旨は地元新聞紙の「The Post Boy」で1722年10月に取り上げられました。この誌面が、現存するドレスデン・グリーン・ダイヤモンドの最も古い歴史的資料だといわれています。

ジョージ1世に断られた後の1726年、モーゼスは、芸術品コレクターとして有名だったザクセン選帝侯「アウグストス1世」にも売却を試みますが、こちらも失敗。グリーン・ダイヤモンドが他の人の手に渡ることはありませんでした。

 

時は流れ1741年、アウグストス1世の跡を継いだアウグストス2世は、ライプツィヒで開催された見本市で、既にモーゼスの手から離れていたグリーン・ダイヤモンドをオランダ商人から購入します。その後、アウグストス2世の指示でグリーン・ダイヤモンドは金羊毛騎士団の勲章である「ゴールデン・フリース」の上部に装着されますが、七年戦争終戦後、勲章から外されクラスプとして帽子に装飾されます。

帽子のクラスプとして生まれ変わったグリーン・ダイヤモンドは、第二次世界大戦開始前まで一般公開されていましたが、終戦後にソビエト連邦の戦利品としてモスクワに持ち運ばれます。1741年からドレスデンに留まり続けたグリーン・ダイヤモンドの、およそ200年振りの引っ越しでした。

それから時は経ち1958年、グリーン・ダイヤモンドはモスクワから返還され、ドレスデンの地に戻り、アルベルティーヌム美術館に展示されました。

 

200年もの間ドレスデンの地で輝き続けた功績を讃え、グリーン・ダイヤモンドは「ドレスデン・グリーン・ダイヤモンド」と呼ばれるようになりました。現在も、ドレスデン・グリーン・ダイヤモンドはドレスデン城内で展示されています。

 

ドレスデン・グリーン・ダイヤモンドの詳細

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ダイヤモンドは、内包している窒素の数によって「Ⅰ型a」、「Ⅰ型b」、「Ⅱ型a」、「Ⅱ型b」の4タイプに分類されます。Ⅰ型は窒素を0.1%ほど含むダイヤモンドを指し、Ⅱ型は窒素をほぼ含まないダイヤモンドを指します。世界で発掘されるダイヤモンドの多くはⅠ型であり、Ⅱ型のダイヤモンドは非常に稀といわれています。

ドレスデン・グリーン・ダイヤモンドは、「Ⅱ型a」に分類される可能性が高いといわれています。Ⅱ型aとは、世界で発掘される全てのダイヤモンドのうち2%以下の確率で発掘されるタイプ。つまり、非常に珍しいタイプのダイヤモンドといえます。

また、1988年のGIA(米国宝石学会)による鑑定結果から、ドレスデン・グリーン・ダイヤモンドの素晴らしさは分類タイプだけではないことが分かります。その鑑定結果は、以下の通りです。

・色…天然の緑色(FANCY NATURAL GREEN)
・重量…8.2g(41カラット)
・透明度…VS1(傷が見えるか見えないか、見えてもほんの少しの傷)
・対称性…非常に素晴らしい
・研磨…非常に素晴らしい

これほどまでに質の高いグリーン・ダイヤモンドが発掘されるのは非常に珍しく、ドレスデン・グリーン・ダイヤモンドは、天然のグリーン・ダイヤモンドと人工のグリーン・ダイヤモンドを見分ける基準としても用いられています。

 

想いを込めた婚約指輪の選択を

婚約指輪は、一生を添い遂げても構わないと思える最愛の人に渡すものです。それゆえ、婚約指輪には何かしらの想いを込めて相手に渡したいもの。

200年もの間ドレスデンに留まったドレスデン・グリーン・ダイヤモンドにあやかり、「愛が移ろうことなく永遠に留まる」といった想いを込めて、グリーン・ダイヤモンドを施した婚約指輪を選択してみてはいかがでしょうか。また、緑色は「安らぎの色」と呼ばれており、グリーン・ダイヤモンドを施した婚約指輪に平穏な結婚生活への願いを込めてみるのもおすすめです。

 

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