コラム

歴史

ガラス玉から奇跡の栄転 トルコの秘宝“スプーンダイヤモンド”

トルコ・イスタンブールにあるトプカピ宮殿博物館では、さまざまな宝石が一般公開されています。そのなかでもひときわ目を引くのが、“スプーンダイヤモンド”と呼ばれる約86カラットのダイヤモンドです。なぜ、このようなユニークな名前がつけられたのでしょうか? そこで今回は、スプーンダイヤモンドについてご紹介します。

 

世界に誇れる輝き

Large pear cut diamond isolated on black. 3d illustration, 3d rendering

スプーンダイヤモンドは、約86カラットもの大きさを誇るダイヤモンドです。婚約指輪にあしらわれる多くのダイヤモンドのサイズが0.2カラット~0.3カラット、大きくて0.5カラットであることを考えると、スプーンダイヤモンドがとてつもない大きさであることが想像できます。

それだけでも、世界屈指の大きさを誇っているスプーンダイヤモンドですが、ダイヤモンドの周りには49個もの小さなダイヤモンドが装飾されています。なお、スプーンダイヤモンドは涙のしずくのような形のペアシェイプにカットされています。

 

一度はガラス玉の烙印を押された、スプーンダイヤモンドの歴史

宝石の王様と呼ばれるダイヤモンドのなかでもトップレベルの美しさを持つスプーンダイヤモンドですが、その名前からうける印象は、「華やか」「偉大」というよりは「ユニーク」。この独特の名前の由来は、いくつか存在します。今回は、そのなかでもユニークなエピソードをご紹介します。

スプーンダイヤモンドを最初に見つけたのはトルコ・イスタンブールの貧しい漁師だといわれています。
漁師はキラキラと光る石を海岸で見つけ、あるスプーン職人のところへ持っていきました。「もしかしたら高価な石かもしれない!」という漁師の期待に反して、職人はその石を価値のないガラス玉だと判断します。落ち込む漁師を不憫に思って、職人は石と引き換えに3本のスプーンを漁師にあげました。しかし、その後、ガラス玉だと思われていたその石がダイヤモンドであることが分かります。ダイヤモンドは、きれいにカッティングされ、トルコ政府に渡り、そしてトプカプ宮殿博物館に展示されることとなりました。

このストーリーはあくまで言い伝えのひとつですが、ユニークな名前にふさわしいエピソードですよね。

 

実はピゴット・ダイヤモンドと同じ?

2-3

スプーンダイヤモンドには、面白い噂があります。それは、「実はピゴット・ダイヤモンドと同じものなのではないか?」というものです。

世界的に有名なダイヤモンドのひとつ「ピゴット・ダイヤモンド」。このダイヤモンドは、インドのジョージ・ピゴット男爵が所有していたことから「ピゴット・ダイヤモンド」と呼ばれるようになりました。ピゴット・ダイヤモンドは、さまざまな人の手を渡り歩いたのち、打ち砕かれてなくなってしまったといわれています。このエピソードに確証はありませんが、現在もピゴット・ダイヤモンドが見つかっていないことは事実です。

実は、このピゴット・ダイヤモンドとスプーンダイヤモンドは、語りつがれるエピソードにいくつかの共通点があります。たとえば、ピゴット・ダイヤモンドはナポレオンの母が所有していたことがあるといわれていますが、スプーンダイヤモンドも彼女が持っていたという噂があるのです。また、ピゴット・ダイヤモンドの大きさは約47カラットか約86カラットだったという2つの説があります。もし86カラットであれば、これはスプーンダイヤモンドの重さと一致します。

あくまで噂でしかありませんが、歴史のミステリーを感じる、興味深い話です。

 

大粒向きのカッティング

スプーンダイヤモンドは、ペアシェイプカットに研磨されています。涙のような形がキュートなペアシェイプカットは、婚約指輪やネックレスなどによく見られるカットです。ペアシェイプの「ペア」とは、「対」ではなく、「西洋梨」を意味しています。形が西洋梨と似ていることから、名付けられました。研磨技術が進歩している現代では、58の研磨面からなる「ペアシェイプ・ブリリアント・カット」なるものも存在します。

婚約指輪にあしらうダイヤモンドには「ラウンド・ブリリアント・カット」が絶大な人気を誇っていますが、ペアシェイプ・ブリリアント・カットも婚約指輪のメインダイヤモンドとしてよく選ばれています。また、ペアシェイプ・ブリリアント・カットは比較的大粒のダイヤモンドのカッティングに適しているため、婚約指輪だけでなく一粒ダイヤモンドのネックレスやペンダントとしても人気です。

 

歴史にあまねく輝きを指先に

スプーンダイヤモンドは、その親しみやすい名前とは裏腹に、とても大きく美しいダイヤモンドです。婚約指輪にも、スプーンダイヤモンドのような、息をのむ美しさを添えてみてはいかがでしょうか。

一覧へ戻る

関連コラム

この記事を読んでいる人はこんな記事も読んでいます

新着コラム