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国王をも虜にした曲線美。一国を傾けた魅惑の宝石“アイドルズアイ”

これまで数々の名ダイヤモンドを産出してきた、インドのゴルコンダ鉱山。そんなゴルコンダ鉱山でみつかったダイヤモンドのひとつに、「アイドルズアイ(Idol’s Eye)」があります。今回は、アイドルズアイの歴史や魅力、また、ゴルコンダ鉱山でみつかったアイドルズアイ以外の素晴らしいダイヤモンドをご紹介します。

 

美しい曲線を描くダイヤモンド アイドルズアイ

アイドルズアイは、高品質なダイヤモンドが豊富に産出されることで有名な、インドのゴルコンダ鉱山で1600年頃に採掘されたと考えられているブルーダイヤモンドです。大きさは70.20カラット、カラーグレードはベリーライトブルー、クラリティはVVS1(ベリーベリー スライトリー インクルーデッド)です。なお、VVS1とはダイヤモンドのカット評価において、極上であるFL(フローレス)、IF(インタナリーフローレス)に次ぐ品質評価のこと。宝石業界で、トップグレードであると認められている評価です。

出典:MIHO MUSEUM

アイドルズアイには、丸型と四角形が混じったような形状を表す“クッションカット”と、卵のような楕円形を表す“オーバルシェイプ”をかけあわせたような、特徴あるデザインが施されています。

 

一国を破滅の淵に追いやったダイヤモンド

滑らかな曲線が美しいアイドルズアイは、その美しさで一国を傾けたという言い伝えがあります。この事件は、オスマン帝国のスルタン(※君主の呼び名)が、カシミール王の恋人・ラシェータ姫に一目惚れしたことから始まります。

カシミール王の恋人・ラシェータ姫に恋い焦がれたオスマン帝国のスルタンは、ある夜に姫を強奪します。恋人の強奪に嘆き悲しむカシミール王に対し、オスマン帝国のスルタンは、「アイドルズアイを渡せば姫を返す」と交換条件を提示します。恋人とアイドルズアイの二択を迫られたカシミール王は、後ろ髪を引かれる思いで、所有していたアイドルズアイを手放しました。

 

こうしてオスマン帝国のスルタンの手に渡ったアイドルズアイは、第34代スルタンのアブドゥル・ハミト2世に引き継がれます。トントン拍子に政治が進んでいた先代とは異なり、ハミト2世の時代の政治環境は非常に難しいものでした。なぜなら、当時のオスマン帝国はヨーロッパ列強に圧倒され、壊滅の危機にあったからです。1908年には、青年トルコ党の革命が勃発し、1909年にはハミト2世は皇帝の座を追われ、1922年にオスマン帝国は滅亡します。

オスマン帝国に渡ってから帝国が滅ぶまで、アイドルズアイはその一部始終を眺めていましたことから、「アイドルズアイの魔力が国を滅亡に導いたのではないか」と囁かれるようになったのです。

 

ゴルコンダ鉱山の名だたるダイヤモンドたち

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アイドルズアイの産出地であるインドのゴルコンダ鉱山では、他にも有名なダイヤモンドが産出されています。特に有名なダイヤモンドが、「シャー・ダイヤモンド」と「リージェント・ダイヤモンド」です。

 

シャー・ダイヤモンドは、1450年に発見されたといわれる88.70カラットのイエローダイヤモンドです。3つのファセットには、“シャー・ニザム”“シャー・ジェハン”“ナディル・シャー”という歴代の所有者の文言が彫刻されています。シャー・ダイヤモンドは1655年、北インド・ムガル帝国で第6代君主となったアウラングゼーブ帝の、玉座の装飾として使われていました。しかし、ペルシャが攻め入ってきたことで所有者がペルシャ王に移り、1829年にはロシア皇帝ニコライ1世の元へ、さらに第一次世界大戦の際にモスクワへ居を移すことになります。現在は、ロシアのダイヤモンドコレクションのひとつとして、クレムリン・ミュージアムに展示されています。

 

リージェント・ダイヤモンドは、1700年頃に原石が発見されたダイヤモンドです。410カラット以上あった原石ですが、18世紀初めに140.50カラットのクッションシェイプにカットされます。「リージェント」の名がついたのは1707年のこと。フランスのルイ15世の摂政(リージェント)であったオルレアン公フィリップの元に渡ったことが、その名の由来です。その後、ナポレオンの戴冠式に登場したり、ナポレオンの妻マリー・ルイーズの父親であるオーストリア皇帝によりフランスへ返却されたり、などの経緯の末に、現在はフランスのルーブル美術館に展示されています。

 

憧れのダイヤモンドを、薬指に光る婚約指輪に

いかがでしたか。これまでに多くの人々を虜にしてきた、ゴルコンダ鉱山のダイヤモンド。もしかしたら、あなたがお持ちのダイヤモンドも、ゴルコンダ鉱山で採れたダイヤモンドのひとつかもしれません。

 

婚約指輪をお探しの方は、歴史上の人物が愛してやまなかったダイヤモンドを、婚約指輪のメインストーンに選んでみてはいかがでしょうか。婚約指輪は、愛する人との絆を実感できる特別なジュエリーです。「変わらぬ愛」「純愛」などの石言葉をもつダイヤモンドをあしらえば、よりロマンチックな婚約指輪になりますよ。

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