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ナポレオンを魅了した「征服されざる」ダイヤモンド

婚約指輪に使用されたり、王族の装飾物に使用されたりと、さまざまなシーンで重宝されているダイヤモンド。そんなダイヤモンドは、歴史に名を残す多くの偉人をも強く魅了していたことをご存知でしょうか。ダイヤモンドの魅力に惹きつけられた人物のひとりが、ナポレオン・ボナパルト。フランスで初の帝政を築いた人物として、歴史の授業で学んだ方も多いかと思います。今回は、そんなナポレオンの一族が愛したダイヤモンドをいくつかご紹介していきます。

 

征服者としての象徴

ダイヤモンドという言葉のルーツは「征服されざるもの」という意味にあります。

遠い昔、西洋人はダイヤモンドを当時のギリシャ語で「adamas」と呼んでいました。「adamas」はもともと「征服されざる」という意味を持つ言葉。これが転じて「とても硬い金属、石」という意味を持ち、やがてダイヤモンドを呼びあらわす言葉になったのです。

その後、ラテン語圏に輸入された「adamas」は「diamas」に呼び方を変えます。そして、「diamas」がフランス語圏へ輸入されて「diamant」、さらに英語圏へ輸入されて「diamond(ダイヤモンド)」へと変化したのです。

ナポレオン達は、強者にふさわしい「征服されざる」というダイヤモンドの名前の由来にも惹かれたのかもしれませんね。

 

最上の輝きを放つ「リージェント・ダイヤモンド」

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ナポレオンの一族が愛した1つめのダイヤモンドは、ナポレオンの戴冠式に使用されたという「リージェント・ダイヤモンド」です。

インドで発見され、イギリスの総督に見初められたこのダイヤモンドは、イギリスでカッティングされました。その後、フランスの摂政であるオルレアン公フィリップがこのダイヤモンドを購入。これがきっかけで、このダイヤモンドは「リージェント(摂政)」と呼ばれることになります。

リージェント・ダイヤモンドは、フランスのルイ15世などと人生をともにし、ナポレオンが即位する際には、剣の装飾として戴冠式を彩っています。ナポレオンが流罪となったあと、リージェント・ダイヤモンドはナポレオンの妻が一度持ち去りますが、その後返却されます。

リージェント・ダイヤモンドの特徴としてあげられるのは、その圧倒的な美しさです。オルレアン公が購入した当時は、ヨーロッパにリージェント・ダイヤモンドを超える輝きはなかったといいます。それほどに透明度が高く、現在も高い評価をされ続けています。

なお、リージェント・ダイヤモンドは、かつてナポレオンが支配したフランスに今も残っており、ルーヴル美術館でその姿を見ることができます。

 

歴史から姿を消したピゴット・ダイヤモンド

Hammer with a broken card, vintage look, ace of diamonds

2つめは、ナポレオンの母が所有していたとされる「ピゴット・ダイヤモンド」です。

このダイヤモンドの由来は、イギリスの総督であったジョージ・ピゴットへ贈られたことにあります。彼の死後はナポレオンの母が大切に持っていたといわれています。その後も、ピゴット・ダイヤモンドはさまざまな人の手を渡り、最終的にオスマン・トルコ帝国のアリ・パシャという名の将軍の所有物となります。しかし、アリ・パシャは祖国の意に反して独自の領土を増やしていったため、処刑されることになります。その際、身につけていたピゴット・ダイヤモンドを部下に託して破壊するよう命じたと伝えられていますが、実際にどうなったのかは確認されていません。本当に破壊されたのか、それとも誰かが持っているのか…ピゴット・ダイヤモンドは、歴史からそっと姿を消したミステリアスなダイヤモンドとして語り継がれています。

 

芸術的なシンメトリーのポーラ・スター・ダイヤモンド

A beautiful sparkling diamond on a light reflective surface. 3d image. Isolated white background.

3つめは、ナポレオンの長兄が所持していたとされる「ポーラ・スター・ダイヤモンド」です。

ポーラ・スター・ダイヤモンドの特徴は、シンメトリー(左右対称性)が極めて優れていること。その完璧さは、キューレット(ダイヤモンドの下の先)で立たせてもバランスを取れるといわれるほどです。婚約指輪にも、このような緻密で美しいカッティングがほどこされたダイヤモンドをあしらいたいですね。

なお、ナポレオンの長兄所有のあとは、ロシアのユスポフ家へと渡り、そしてフランスのジュエリーブランド・カルティエが購入しました。その後も所有者が何度か変わり、現在はスリランカにあるといわれています。

 

ナポレオンの贈り物 ティアラとネックレス

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そして最後にご紹介するのは、ナポレオンが2番目の妻、マリー・ルイーズに贈ったとされるティアラとネックレスです。これまでの3つのように固有の名前を持つダイヤモンドではありません。しかし、このティアラには、なんと950個ものダイヤモンドが装飾されています。このティアラは、ナポレオンがマリーに結婚記念に贈ったものです。また、息子が生まれたことを祝福して贈ったネックレスにも、数え切らないほどのダイヤモンドがあしらわれています。「猛々しい英雄・ナポレオン」のイメージとは違った、愛に溢れる温かい印象を感じられるダイヤモンドジュエリーです。これらのダイヤモンドは、アメリカのワシントンD.C.にある国立自然史博物館のコレクションの一部となっています。

 

ナポレオンが愛する家族に贈ったダイヤモンド。そのスケールは桁違いですが、ナポレオンがダイヤモンドにこめた気持ちは、現代人が婚約指輪や結婚指輪を愛する人に贈るときの気持ちと同じだったのかもしれません。

なお、現代の日本では、婚約指輪は0.3カラットのダイヤモンドをあしらうのがメジャー。ダイヤモンドに愛をこめて、大切な方に婚約指輪を贈ってみてはいかがでしょうか。

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