コラム

歴史

日本にダイヤモンドが入ってきたのはいつ?

ダイヤモンドは、世界中で愛されている宝石のひとつです。婚約指輪や結婚指輪など、特別なジュエリーにも使用されるダイヤモンドは、欧米やアジア各国だけでなく日本でも人気の宝石。では、そんなダイヤモンドが日本に登場したのはいつ頃のことなのでしょうか。ここでは、ダイヤモンドと日本の歴史についてご紹介します。

意外に最近のこと?日本とダイヤモンドの関係

2

婚約指輪や結婚指輪などにあしらわれることの多いダイヤモンド。ヨーロッパやインドなどでは、かなり古くからダイヤモンドが重宝されてきました。これに対して、日本におけるダイヤモンドの歴史はまだまだ浅いといえます。仏教の法典でダイヤモンドは「金剛石」として記されており、その存在は古くから日本人にも伝わっていました。しかし、名前が知られていただけであって、本格的に浸透していたという訳ではありませんでした。

そもそも、実は昔の日本には婚約指輪や結婚指輪を身につける習慣がなかったため、ダイヤモンドなどのジュエリーそのものに馴染みがなかったそうです。そんな日本にジュエリーが入ってきたのは明治時代のこと。明治時代の日本といえば、ちょうど西洋文化が流入してきた激動の時代にあたります。洋食や洋装などの西洋文化が広まり始め、人々の食事や装いなどさまざまな部分に変化が見られた時代です。

明治中期頃になると、指輪をはじめ髪飾りや腕時計といったアクセサリーが少しずつ雑誌広告に掲載されるようになります。同時に、ダイヤモンドなどのジュエリーも少しずつ人々の目に触れるようになってきました。また、この時代には銀座などの繁華街にダイヤモンドの婚約指輪などを扱うジュエリーショップが増え、多くの人々を魅了するようになりました。

ダイヤモンドを身につけることは、当時の人々にとって大きなステータスだったそうです。しかし、ダイヤモンドをはじめとしたジュエリーを手にできるのは一部の上流階級の人々だけ。当時の庶民にとって、ダイヤモンドは高嶺の花で、簡単に手が届くような代物ではありませんでした。なお、婚約指輪をプロポーズの時に渡すという習慣も、外国文化と関わる機会に恵まれていた上流階級の人々の間で広まったといわれています。つまり、このときは婚約指輪もダイヤモンドも、あくまで上流階級の人々の間だけのブームだったのです。

庶民の間にも婚約指輪の文化が広がったのは1960年代頃だとされています。資料によると、当時の高給取りとされる銀行員の初任給は40円程度。それに対して、ダイヤモンドの価格は1カラットあたり450円前後だったと記録されています。エリートである銀行員の初任給の約11倍の価格をしていたダイヤモンド。この数字から、人々にとって手が届かない代物だったことが分かります。

文学にも登場、戦争の混乱をくぐり抜けたダイヤモンド

3

明治時代に登場して以来、上流階級から庶民まで、多くの人々が憧れ続けたダイヤモンド。かの明治天皇も徹底した倹約家の顔を持つ一方で、ダイヤモンドコレクターという一面を持っていたそうです。

また、明治時代の作家・尾崎紅葉が発表した名作小説「金色夜叉」にも、人々を魅了する宝石としてダイヤモンドが登場します。この物語では、登場人物の女性がダイヤモンドを欲するがあまりに、婚約者を裏切って別のお金持ちの男性と結婚してしまうシーンがあります。そして、そのシーンで「ダイヤモンドに目がくらみ」というとても印象的な一文が登場します。この一文から、当時の女性がダイヤモンドに強く焦がれていたことが読み取れます。

明治から大正、昭和と時代が流れても、ダイヤモンドは高級品としての地位を保っていました。昭和初期になると、国内の宝石加工の技術が向上し、高品質なダイヤモンドが国内で手に入るようになりました。そのような技術進歩のおかげもあり、上流階級だけでなく中産階級の人々もダイヤモンドを手にすることができる時代になりました。

しかし、太平洋戦争が勃発したことで事態は変わります。ダイヤモンドは贅沢品として政府に接収され、人々の前から姿を消してしまいました。戦時中に接収されて日銀本店の地下金庫に眠っていたダイヤモンドは、その数16万1千カラットといわれています。そして戦後、徴収されたままだったそのダイヤモンド達は、大蔵省より“放出ダイヤ”という名前で、破格の値段で販売されることになります。大蔵省から販売されるということで、信頼性と箔もつき、ダイヤモンドは多くの人々の手に渡りました。これが日本国内で再びダイヤモンドが姿を現すきっかけとなりました。

そして現代でも愛される宝石に

現代でこそ、グッと身近なものになっているダイヤモンドや婚約指輪。日本でのダイヤモンドの歴史は、欧米各国に比べると新しいものですが、それでもダイヤモンドが多くの人々を魅了してきたことに変わりはありません。これからも、ダイヤモンドや婚約指輪は特別な存在であり続けるのではないでしょうか。

一覧へ戻る

関連コラム

この記事を読んでいる人はこんな記事も読んでいます

新着コラム