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輝きは二の次? 古代インドでは「ダイヤモンドの美しさ=硬さ」が当たり前だった!?

ダイヤモンドといえば、婚約指輪やアクセサリーに用いられる高価なジュエリー。

現在、その価値はGIA(米国宝石学会)によって定められた4C基準(Cut、Carat、Cut、Clarity)を基に決められています。ですが、このような基準ができるよりも遥か昔、ダイヤモンドが初めて発見された古代インドにおいては、この石の価値は今とは少し違ったようです。

現在とは大きく異なる、古代インドにおけるダイヤモンドの価値

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ダイヤモンドが初めて発見されたのは、紀元前4世紀頃のインドだといわれています。
しかし当時は、現在の婚約指輪に用いられているような宝石としての価値は認められていませんでした。

なぜなら、研磨技術が発達していなかった当時、ダイヤモンドの稀有な美しさに気付く者はいなかったから。ダイヤモンドの美しい輝きは、丹念に研磨してこそ得られるもの。のちに婚約指輪やアクセサリーとして多くの人々を魅了することになるダイヤモンドの輝きは、このときにはまだ石の内面に秘められたままだったのです。

とはいえ、ダイヤモンドは当時から美しさとは別の側面で注目を集めていました。それは、その飛び抜けた硬さでした。

とてつもなく硬い、征服し得ないもの……それが当時のダイヤモンド

当時のインドの人々にとって、ダイヤモンドは現在の婚約指輪やアクセサリーのような宝石としての価値こそ持たなかったものの、「とてつもなく硬い石」として一目置かれる存在でした。

同時代のローマ文献には、「硬いもの」全体を総称した「adamas アダマス」のひとつとして、インドから伝来したダイヤモンドの記述も。
なお、この「adamas」という言葉は、古代ギリシャ語で「征服し得ない力」「何よりも強いもの」などといった意味があるとされています。そして、このadamasが変形してdiamasに、そしてdiamantへ。これがダイヤモンドの語源だといわれています。

その後、ダイヤモンドは、その硬さだけでなく、正八面体の結晶というめずらしさ、インドから伝来したという逸話なども含め、神秘的な魔除けの石としてヨーロッパの人々の間に広まったといわれています。しかし、現在のような宝石としての価値はまだ認められておらず、14世紀ルネサンス後期に活躍した金細工師ベンヴェーヌ・チェリーニは、ダイヤモンドの価値と価格をルビーやエメラルドより遥かに低く定めていたとも。

このようなダイヤモンドに対する評価は、15世紀にヨーロッパで研磨方法が確立されるまで続きました。

ダイヤモンドの硬度は一体どのくらい?

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ところで、古代インドやヨーロッパにおいて「恐ろしく硬い石」として知られていたダイヤモンド、実際のところは一体どの程度の硬さなのでしょうか。

のちに確立された「モース硬度」という鉱物の硬さを表す基準において、ダイヤモンドの硬度は10段階中の10。モース硬度とは、ふたつの鉱物同士をこすり合わせてどちらが先に傷がつくか検証して算出された相対値。つまり、「ダイヤモンドは他のどんな鉱物よりも硬い」という評価がなされているのです。なお、この基準において、ダイヤモンドの次に強いのはルビーやサファイヤの原石であるコランダムとされており、その評価は9。

ただし、この方法によってわかるのは、あくまで「ひっかき傷に対する抵抗力」。叩いたり割ったりといった衝撃に対する抵抗力は、「ビッカース硬度」という基準で測定されています。
これは、モース硬度のように相対値ではなく、絶対値評価で硬度を示すもの。このビッカース硬度におけるダイヤモンドの評価は、7,000HV~15,300HV程度。

この基準法においても、ダイヤモンドには「あらゆる鉱物の中で最も硬い」という評価が与えられています。例えば、モース硬度基準においてダイヤモンドの次に硬いとされているサファイヤは2,300HV程度。ビッカース硬度においてはダイヤモンドと大きな開きがあることがわかります。また、セラミックスに利用されている炭化ケイ素は2,350HV、超硬合金は1,700~2,050HV程度。

このように、他の鉱物と比較するといかにダイヤモンドが飛び抜けて硬い鉱物であるかということがわかるでしょう。そして、この性質が、ダイヤモンドが婚約指輪にあしらう宝石として選ばれる理由のひとつでもあるのです。

ダイヤモンドが硬い理由

このようなダイヤモンドの硬さは、ダイヤモンド誕生の過程に由来しています。地球にダイヤモンドが誕生したのは、今から33億年ほど昔のこと。地表から100km以上深い地球内部でのマントル運動によって炭素原子同士が結びつき結晶化したことによってダイヤモンドは生まれました。高温高圧の状況下で起こったその結びつきは非常に強く、それがダイヤモンドをこれほどまでに硬い石にした理由だとされています。

いかがでしたか。
何かに当たっても傷がつくことはなく、衝撃にも強いダイヤモンド。婚約指輪やアクセサリーとして毎日身につけていても変わらないその美しさは、まさに永遠の輝きと呼ぶにふさわしいもの。

ダイヤモンドが婚約指輪やブライダルジュエリーとして寵愛され続けているのは、美しさの裏に秘められた強さゆえなのでしょう。
みなさんも、婚約指輪を選ぶ際には、ぜひダイヤモンドの硬さを手にとって確かめてみてください。

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