コラム

歴史

特権階級やセレブから一般女性にダイヤモンドが渡るまで

多くのブームは、若者を中心に社会全体に広がっていくといわれています。

例えば今日では、アニメやゲーム、鉄道、IT、グルメ、ファッションなどのブームが若者を中心に広がっています。もっとも、今日までの歴史を振り返ると、必ずしも全てのブームが若者から広がっていったというわけではありません。
たとえば、今日では婚約指輪や結婚指輪などの用いられるのが一般的となったダイヤモンドの歴史を振り返ると、かつての中世ヨーロッパでは、もっぱら王族や貴族の嗜好品でした。

はじまりは中世ヨーロッパ

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ヨーロッパの王族や貴族が描かれている肖像画を見ると、その服装や装飾の所々にダイヤモンドなどのジュエリーを目にすることができます。
なお、これとは対称的にいわゆる庶民を描いた絵画には、ダイヤモンドなどのジュエリーはほとんどといってよいほど目にすることができません。こうした中世の文化やファッションを描いた肖像画や絵画から、当時のヨーロッパではダイヤモンドは王族や貴族など一部の人たちの嗜好品であったことがわかります。
なお、ダイヤモンドは古くからヨーロッパにあったのではなく、南米大陸であるブラジルを訪れたスペイン人やポルトガル人がヨーロッパ大陸に持ち込んだことがきっかけで、ヨーロッパに広まることになりました。

今でこそダイヤモンドといえば豪華で綺羅びやかなイメージが持たれる宝石ですが、中世ヨーロッパではダイヤモンドのカッティング技術が現在ほど高度なものではなかったため、細かなカッティングはなされておらず、単調なテーブルカットやローズカットが一般的でした。
現在では、婚約指輪や結婚指輪などで用いられるダイヤモンドはいわゆるラウンドブリリアントカットの技術が高度に発達しているため、ダイヤモンドに入る光が全方向に拡散されて強い輝きが放つ特徴がみられますが、当時のヨーロッパでは王族や貴族といえども、こうした豪華で綺羅びやかな宝石にお目にかかることはありませんでした。

もっとも、あまり強い輝きを持たないにもかかわらず、王族や貴族がダイヤモンドに強い興味を抱くある特徴がありました。それは、ダイヤモンドの「硬さ」です。ダイヤモンドの硬さは、加工技術が未発達な当時においても周知の事実であり、その硬さゆえに権力者たちの興味を引きつけました。こうした硬さが権力者を魅了し、それゆえダイヤモンドの価値は高いものとなっていました。

ダイヤモンドの価値を高めた要因は、その硬さだけではなく希少性にもありました。現在ほど採掘技術が発達していない中世においては、ダイヤモンドの採掘量は現在よりも遥かに少ないものでした。それゆえ、ダイヤモンドは高い希少価値を生み出すことになりました。

こうした希少価値の高さから、時の権力者たちは自身の富と権力を誇示するために、一斉にダイヤモンドを求めました。
そして、発掘したダイヤモンドは自身を着飾るための宝飾として使用し、宝石を全面に押し出したファッションが王族や貴族の間で流行することになったのです。

ダイヤモンドが一般社会に浸透するまで

18世紀末になると、時の権力者であるマリーアントワネットのファッションが一般大衆に強く意識されるようになります。また、19世紀になるとヴィクトリア女王が同様に、一般大衆のファッションリーダーとしての象徴となります。こうした時代の流れを経て、20世紀には王族や貴族のファッションが一般大衆に広く支持され、そして模倣されるようになります。

王族・貴族のファッションの浸透と軌を一にして、ダイヤモンドの文化も一般大衆に浸透するようになります。なお、これを促した他の要因として、プラチナの存在も挙げられます。19世紀や20世紀初頭にプラチナ鉱床が発見されたことにより、ジュエリーの制作にプラチナが採用されるようになり、ダイヤモンドなどのジェリーは広く浸透するようになりました。

かつては一部の特権階級のみが嗜んでいたジュエリーは、次第に一般大衆に広がり、婚約指輪や結婚指輪として、若者を中心に浸透することになります。現在では10代、20代の女性を中心に、婚約指輪や結婚指輪は人生の大きな転換点に欠かせないアイテムとなっています。

なお、婚約指輪や結婚指輪は世間一般に広く浸透すると同時に、現在でも王族や貴族、そしてハリウッドセレブなどの一部の“スター”にとっても欠かせないアイテムとなっています。それゆえ、映画や舞台などでもジュエリーが大きく取り扱われ、それ自体で一つのストーリーが作り出されることもあります。
婚約指輪や結婚指輪などが登場する映画の中でも特に有名なのは、人気女優からモナコの公妃に転身したグレース・ケリーの半生を描いた「グレース・オブ・モナコ」です。この映画では、1956年にモナコ公国のレーニエ3世から婚約指輪として贈られた「プラチナ+10.47カラットのエメラルドカットのダイヤモンドをセッティングしたカルティエ製の指輪」が登場し、世界中の女性の羨望を集めました。

現在では広く浸透した婚約指輪や結婚指輪の文化。これまでにみてきたように、ここに至るまでには様々な歴史やドラマがありました。

 

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