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歴史

時代によって移り変わる、ダイヤモンドの採掘法と原産国

婚約指輪の定番、ダイヤモンド。婚約指輪のダイヤモンドがどこの国のどんな場所で採掘されているかをご存知でしょうか。
婚約指輪などに用いられるダイヤモンドの採掘場所や原産国は、長い歴史の中で移り変わりをみせています。今回は現代に過去から現代において、ダイヤモンドがどこの国でどのように採掘されてきたのかをご紹介します。

ダイヤモンドの採掘法の移り変わり

ダイヤモンドが婚約指輪となって私たちのもとへやって来るまでには、様々な行程が踏まれます。まず、採掘です。
ダイヤモンドの採掘法は、主に3種類。原始的な方法から大規模な採掘が可能な現代的な方法まで、種類によって異なります。以下では、過去から現代までのダイヤモンドの採掘法についてご紹介します。

バンニング

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最も原始的なダイヤモンドの採掘法が、バンニングです。
バンニングは、川で掬った土砂を大皿の中に入れ、川の水ですすぎながら原石を探していくというものです。バンニングには、一度に大量のダイヤモンドを採掘できない、地表付近のダイヤモンドしか採掘できないなどのデメリットがあり、新しい採掘法が考案された後は時代と共に衰退していきました。しかし、現代では砂金探しの際にこの方法が用いられることがあります。

パイプ鉱山

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パイプ鉱山は、バンニングの次に誕生したダイヤモンドの採掘法です。
地面に地下数百メートルほどの穴を掘り、掘削・粉砕・回収の過程を経てダイヤモンドを採掘します。

掘り方は、露天堀りと地下採鉱の2種類。地下採鉱では、鉱脈の中で箱を掘っていくイメージのチャンバリング採掘法と人手をあまり必要としないブロックケービング採掘法、鉱脈の中で約65度のベンチを掘削していくサブレベルケービング採掘法の3つの方法から鉱山の特徴に合わせて採掘法を選びます。露天掘りでは、パワーショベルを使って地表から螺旋状に掘削していきます。地表から200メートルまで堀り進めると、穴の周囲から岩石の崩壊が起こりやすく、作業が危険な状態になります。そのため、穴の下を掘る地下採掘法に切り替えられることがほとんどです。

パイプ鉱山での掘削作業が終わった後は、爆薬を使って掘り起こしたキンバーライト(ダイヤモンド原石を含む岩石)を粉砕します。そこからダイヤモンド原石を回収していきます。なお、パイプ鉱山でのダイヤモンド原石の回収量はキンバーライトの2000万分の1。そのうち、婚約指輪などの宝石に適した高品質なダイヤモンドは、わずか10%~20%しか見つからないのだそうです。

漂砂鉱床

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最も近代的なダイヤモンドの採掘法としてあげられるのが、漂砂鉱床です。
婚約指輪に使われるダイヤモンドも、この方法で採掘されていることが多くなっています。
ダイヤモンド原石を含む岩石 キンバーライトはパイプ鉱床になっており、侵食や風化の影響を受けて河川へ流れ出てしまいます。河川に流れ出た後は砂礫の中に堆積され、新たな鉱床となります。中には、海に流れ出るものもあり、それらは海岸でダイヤモンド鉱床となります。

漂砂鉱床では、そういった鉱床に大規模掘削機械を投入し、ダイヤモンド原石を採掘していきます。パイプ鉱山のように大規模な採掘機械を使う必要もなし。また、一度に広範囲から採掘することもでき、低リスクで効率の良い採掘法として、現代のダイヤモンド採掘法の主流となっています。

ダイヤモンドの原産国の移り変わり

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採掘法の移り変わりは、ダイヤモンドの原産国も影響を与えています。以下では、過去から現代までのダイヤモンドの主要原産国についてご紹介します。

インド

今や婚約指輪の定番でダイヤモンド。そんなダイヤモンドを世界で最初に発見したのはインドで、かつてのダイヤモンドは「インド石」とも呼ばれていました。前項でご紹介した採掘法・バンニングもインドで誕生したもので、当時、ダイヤモンドはインドでしか採掘されないものと考えられていました。
しかし1725年、ブラジルでダイヤモンドの鉱床が見つかり、バンニングでのダイヤモンドの採掘は衰退していきます。その後も続々と他国で大きな鉱床や鉱脈が発見され、インドでのダイヤモンド産業は衰退していきました。

ブラジルからアフリカ

1725年、それまではインドでしか採掘されないと思われていたダイヤモンドがブラジルでも発見されました。そこからブラジルは世界最大のダイヤモンド産地にまでのぼりつめ、1725年から1860年までは“ダイヤモンドラッシュ”が巻き起こる状態でした。しかし、1867年に南アフリカでダイヤモンドが発見されると、ブラジルのダイヤモンド鉱山は衰退気味に。ダイヤモンドのトレンドは、ブラジルから南アフリカへと移り変わります。

南アフリカには地学的な視点からもダイヤモンドの産出が期待できる場所があちらこちらに存在しており、その読みの通り、キンバーライト・パイプの鉱床が続々と発見されました。19世紀末から20世紀半ばまでは世界一のダイヤモンド産出量を誇り、1888年には今も尚有名なデビアス・コンソリデーテッド・マインズ社が設立。世界のダイヤモンドの独占体制も確立されました。

しかし、そんな南アフリカの独占体制も長くは続きません。南アフリカの近隣諸国でも、ダイヤモンドが続々と発見されていったのです。現在、南アフリカに隣接するボツワナは天然ダイヤモンドの生産量ランキングで2位。近隣諸国のアンゴラやコンゴ民主共和国も上位にランクインしています。

ロシア

現在、世界一の天然ダイヤモンド産出量を誇っている国がロシアです。1950年代前半から、ロシアではキンバーライト・パイプが続々と発見されるようになりました。近年では、1000以上のパイプが発見されているといいます。
なお、ロシアで最も大きなシベリアのダイヤモンド鉱脈には、数千年前、巨大な隕石が衝突した衝撃から大量のダイヤモンドが眠っているとされています。その埋蔵量は数兆カラットにも及ぶと推測されており、全世界のダイヤモンド産業をまかなえるといっても過言ではありません。また、隕石の衝突でできたダイヤモンドは、硬度や大きさが優れていることから高品質で、一般的なダイヤモンドよりも高値で取引されるといわれています。現在、ロシアが世界一のダイヤモンド原産国となっているのにも納得です。

 

古くから婚約指輪として親しまれてきた愛されてきたダイヤモンドですが、時代と共に原産国や採掘法は異なっています。
婚約指輪を取り扱う各ブランドのダイヤモンドがどこの国で産出されているものか調べてみるのも楽しみの一つといえます。

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