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二人だけの秘密の暗号。宝石で意味が変わる「アクロスティックリング」

さまざまなアクセサリーの中でも、とりわけ指輪には特別な“意味”が込められるもの。その種類は実に豊富で、形状や用途によって呼び名が変わる特徴もあります。平らな帯状のフラットバンドや、大きめのセンターストーンを1つだけ持つソリティアリング、周囲を小さな宝石で囲むエタニティリングなど、カタチひとつで名前が変わるのです。

これは用途も同様であり、日本では結婚指輪や婚約指輪がお馴染み。一方の欧米諸国では、スポーツなどで優れた成績を収めたチームに贈られるチャンピオンシップリングが一般的です。

そんな指輪の中でも、施す宝石によってメッセージを伝えるものがあります。かつては、婚約指輪や結婚指輪としても人気を誇っていた「アクロスティックリング」です。今回は、指輪自体が“二人だけの秘密の暗号”になるアクロスティックリング(アクロスティックジュエリー)の魅力をお伝えしましょう。

 

あのフランス皇帝が関わっていた?アクロスティックリングのはじまり

Collection of gemstones. 3D illustration

アクロスティックリングは「宝石名の頭文字で暗喩的にメッセージを伝える」指輪です。今日では、金属や宝石の加工技術が進歩しているため、デザインや刻印などでメッセージを伝えられるようになっています。しかし、今ほど技術が発達する以前はそうもいかなかったのです。メッセージを刻む繊細な加工は技術的に難しかったため、宝石の組み合わせをもって想いを込めていました。

そんなアクロスティックリングのルーツは、フランス皇帝・ナポレオンの時代に遡ります。当時、パリを代表する宝石店である「ショーメ」がナポレオンの妻・ジョセフィーヌのために作ったブレスレットがはじまりのようです。当時のパリ社交界で絶大な人気と影響力を誇っていた彼女が、アクロスティックジュエリーを身につけていたことを機に大流行しました。その後、イギリスに伝わると同時に婚約指輪や結婚指輪としてアクロスティックリングが注目されるようになります。

アクロスティックリングは、宝石の組み合わせによってメッセージを伝える指輪です。特に多く用いられた組み合わせが「REGARD」。敬愛や好意といった意味があり、ルビー・エメラルド・ガーネット・アメジスト・ルビー・ダイヤモンドの頭文字を順に並べたものです。

ほかにも、婚約指輪や結婚指輪では“最愛の人”を意味する「DEAREST」や“大切な人”を意味する「ADORE」なども人気だったといわれています。

“宝石の王様”と呼ばれるダイヤモンドをはじめ、宝石の種類は実に豊富です。アルファベットの「X」を除けば、全ての頭文字を持つものが存在します。組み合わせ次第でさまざまな想いを込められたため、アクロスティックリングは大流行したのでしょう。現代のように、メッセージを直接刻むのもストレートで素敵です。でも、二人だけが知る“秘密の暗号”が施されているなら、よりロマンティックな気分に浸れるのではないでしょうか?

 

デザインで惹きつけるのも◎アクロスティックリングの楽しみ方

当初のアクロスティックリングは、メッセージ性が重要視されていました。しかし、時代とともにデザイン性にもこだわった指輪が次々と誕生します。横一列に並べるだけでなく、ダイヤモンドを中心に配して、その周囲を複数の宝石で囲むデザインさえあります。

アクロスティックリングはとてもゴージャスで、現在でも通用するデザインに仕上がっています。当時のように流行しているわけではありませんし、定番となっているわけでもありませんが、最近は現代風にアレンジして楽しんでいる方が増えているようです。

当時の貴族達は、とにかく大ぶりの宝石を好む傾向にありました。そのため、比較的サイズの大きいアクロスティックリングが主流となっていたのです。現代風に小さくカットするためには、高度かつ繊細な技術が必要。腕のよい職人にしか成せない業であるため、基本的にアクロスティックリングは完全オーダーメイドとなります。

婚約指輪や結婚指輪をお探しの方は、こだわりのアクロスティックリングを専門工房などにオーダーするのもいいでしょう。宝石の組み合わせで想いを込めれば、世界に二つとない特別な指輪になるのです。

 

もっと手軽にアクロスティックリングを楽しむ方法

アクロスティックリングが大流行したのは遠い昔の話。近年では、宝石の頭文字によってメッセージを込めたアクロスティックリングはあまりみられなくなりました。一方、“指輪にメッセージを込める”という文化は今でも根強く生きていきます。

例えば、お互いのイニシャルをとった宝石1粒をこっそりと配するとおしゃれです。当時のように大ぶりな宝石をあしらった指輪とはなりませんが、それでも立派なアクロスティックリングとなります。指輪に込められた特別な想いは、本人たちだけが知っていれば十分なのです。また、誕生石のように、宝石単体に意味が込められているケースもあります。これをあしらった指輪もまた、現代のアクロスティックリングの一種なのです。

 

遠回しな愛情表現だからこそロマンティック。アクロスティックリングを贈ろう

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いつの時代も、指輪にはさまざまな想いが込められているもの。それを宝石の組み合わせで表したものがアクロスティックリングです。本格的なアクロスティックリングではなくても、宝石選びやデザインで特別なメッセージを込めることは十分可能。あなたもダイヤモンドを中心に、唯一無二のアクロスティックリングを作ってみてはいかがでしょうか?

 

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