ダイヤ

歴史の1ページを刻む。シエラレオネの希望「平和のダイヤモンド」

ダイヤモンドは、世界中で最も愛されている宝石のひとつです。そんなダイヤモンドには数々の歴史や逸話がありますが、中でも2017年に注目を集めたのは西アフリカ・シエラレオネで採掘された「平和のダイヤモンド」ではないでしょうか。今回は、ダイヤモンドの華やかな姿に隠された悲しい歴史と、その歴史を希望で塗り替えるかもしれない「平和のダイヤモンド」についてご紹介します。

 

血と内戦の下で採掘される悲しいダイヤモンド

銃

ダイヤモンドの主要な採掘地域のひとつであるアフリカでは、ニュースでもたびたび報道されるように、さまざまな内戦が続いてます。情勢が安定に向かっている国や地域も多くありますが、現在も断続的な内戦に苦しめられている国も。こうした内戦は宗教的・民族的対立が主な原因で引き起こされるものであり、長く続く深刻な問題です。多くの死傷者が出ているのに加え、少年兵の徴兵や女性への暴行などの諸問題が山積みなのです。

 

そんなアフリカ諸国の内戦を長引かせているのが、「血のダイヤモンド」や「紛争ダイヤ」と呼ばれるダイヤモンド。アフリカで採取されたダイヤモンドの一部は内戦の資金源として流通し、国内外へ大きな被害をもたらす一因となっているのです。

 

2006年の映画「ブラッド・ダイヤモンド」は内戦当時のシエラレオネを舞台に据え、強制労働による紛争ダイヤの採掘や、少年兵たちの育成といった問題を描写して話題になりました。

映画の舞台となったシエラレオネは、アフリカ諸国の中でも特に激しい内戦が繰り広げられた国。10年に及ぶ内戦によって、450万人の国民の半数以上が難民になり、内戦の犠牲者となりました。このような惨劇が引き起こされるほど、紛争ダイヤの問題は深刻なものなのです。

 

この実情を踏まえ、国連により2002年に採択されたのが「キンバリープロセス認証制度」と呼ばれる制度です。キンバリープロセス認証制度は、「原石を輸出する際、紛争ダイヤでないことを証明した上で輸出を行う」ことを目指した制度のこと。このキンバリープロセス認証制度の登場によって紛争ダイヤの流通にはある程度歯止めがかかるようになりましたが、現在も依然として多くの課題が残っています。

 

平和のダイヤモンドの誕生、オークションへ

お金

紛争ダイヤの影響もあり、アフリカの内戦は今なお長引いています。そんな中、希望を灯すダイヤモンドがシエラレオネに登場しました。2017年12月に採掘された709カラットの大きな原石で、これまでに見つかった原石の中でも14番目に大きいとされています。シエラレオネで見つかった原石としては、過去3番目の大きさだと報告されたとのこと。採掘したのはエマニュエル・モモー牧師を代表とする採掘グループで、採掘現場となった村は電気や水道、道路などのインフラ整備もされていない村でした。

 

このダイヤモンドは地元住民によって密輸業者へ売られることなく、政府によって競売にかけられました。政府はこのオークションによって得た収益の一部を、地元のインフラ整備や国民の生活向上に役立てる方針を発表。この発表がきっかけで、この原石は「平和のダイヤモンド」と呼ばれるようになりました。暗い歴史を歩んできたアフリカの紛争ダイヤに、かすかな光が灯った瞬間です。

 

その後、平和のダイヤモンドはイギリスのハイジュエラーであるローレンス・グラフ氏によって落札されました。その落札額は650万ドル、日本円にして7億3000万円。オークション利益の59%はシエラレオネの税収に充てられ、15%はダイヤモンドの産出地域の開発、それに通ずるインフラの開発に充てられます。さらに、残りの26%は採掘者当人たちへ分配されると発表されました。採掘グループのモモー牧師は、平和のダイヤモンドがシエラレオネの発展や雇用創出の資金源となり、発掘された東部コノ地区の生活を大きく改善させることになると期待するコメントを発表。落札したグラフ氏も、援助すべき国に直接的な利益をもたらす平和のダイヤモンドを落札できたことを喜ぶコメントを発表しています。

 

シエラレオネで採掘されたダイヤモンドが公正なルートで売られることには、とても大きな意義があります。内戦の資金源になるのではなく、地元のインフラ設備や国民の生活向上、治安の安定に繋げる目的でオークションにかけられたことは、アフリカの内戦の歴史に大きな影響をもたらすのではないでしょうか。

 

名実共に、クリーンな宝石を手に入れることが大切

美しいダイヤモンドには、さまざまな歴史や驚きのエピソードがあります。しかし、それは華やかで豪華なものだけではなく、悲しい歴史を伴っていることも多々あるのです。今回ご紹介した紛争ダイヤは、そんな悲しい歴史やエピソードを持った宝石のひとつ。ダイヤモンドを手にするとき、こうした悲しい歴史があることにも心を向けるといいのかもしれません。シエラレオネの「平和のダイヤモンド」のようなきちんとしたフェアなルーツのダイヤモンドは、それだけでも非常に価値のあるものなのです。

 

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