コラム

ダイヤ

4Cにもう一つのC「Conflict(紛争)」が加わらないための制度・キンバリープロセスとは

プロポーズに欠かせない婚約指輪。婚約指輪にダイヤモンド付きの指輪を選ぶ方はたくさんいます。「婚約指輪といえばダイヤモンド」というように、婚約指輪によく用いられているダイヤモンドは幸せを象徴するジュエリーの1つです。

婚約指輪によく使われるダイヤモンドの価値は、「4C」と呼ばれる4つの評価基準によって評価されます。そんなダイヤモンドの取引には、「キンバリープロセス」という制度があります。ダイヤモンドに精通していない方には聞き慣れない言葉であろうキンバリープロセス。これは、ダイヤモンドの評価基準である「cut(研磨)」、「clarity(透明度)」、「carat(重さ)」、「color(色)」に「conflict(紛争)」を含めないための制度です。
これを見て、「婚約指輪のイメージがあるダイヤモンドと紛争には何の関係があるの?」と思ってしまう方は少なくはないでしょう。

そこで今回は、婚約指輪によく用いられているダイヤモンドと紛争との関係性をご紹介すると共に、「キンバリープロセス」についてご紹介します。

ダイヤモンドが採掘される主な場所

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婚約指輪によく用いられるダイヤモンド。そのダイヤモンドが世界で初めて発見されたのは、インドです。
そのため、もともとダイヤモンドはインドでしか採掘されていませんでした。時が経つにつれ、インド以外の国でもダイヤモンドが採掘できる大きな鉱脈が次々と発見されていき、次第にインドはダイヤモンドの主要な採掘場所ではなくなっていきます。

インドの次に主要となったのが、ブラジルです。
ブラジルは、18世紀の初頭から約100年に渡ってダイヤモンドの主要産出国として地位を確立しました。そして、次に主要な産出国となったのが南アフリカです。南アフリカは、今もなお主要なダイヤモンドの産出地域として知られており、「世界最大級の鉱脈を持つ場所」ともいわれています。現在も、ブラジルでの採掘も続けられているものの、ダイヤモンド産出国の上位を占めているのは「アンゴラ」、「シエラレオネ」、「タンザニア」、「ボツワナ」、「リベリア」など、アフリカの国となっています。
これらの国以外にも、ロシアやオーストラリア、カナダでもダイヤモンドは採掘されています。特にオーストラリアは、カラーダイヤモンドが採掘できる国として注目を集めています。

ダイヤモンド採掘で生じた問題

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ダイヤモンドが多く採掘される国の多くには、ある共通点がみられます。その共通点とは、「発展途上国である」というものです。
世界的に見ても、ブラジルや南アフリカは貧困層が多い国だとされています。そのため、ブラジルや南アフリカなどの鉱山からダイヤモンドが採掘されると、その土地の権利やダイヤモンドの権利、資金などを巡って争いが生じ、場合によっては血を流す争いにまで発展してしまうケースもめずらしくはありません。

ダイヤモンドの採掘を巡ってさまざまな問題が生じる中で、特に問題視されたのが「違法に採掘されたダイヤモンド取引」です。違法に採掘されたダイヤモンドとは、テロリストなどの反政府組織によって採掘されたダイヤモンドを指します。彼らの手によって採掘されたダイヤモンドは、違法に取引されます。その違法取引によって生み出されたお金は、紛争などに用いる武器の資金源となってしまうのです。

反政府組織によって取引されたダイヤモンドが、人の血を流すための資金源となっている……。このことから、反政府組織によって採掘されたダイヤモンドは「ブラッド・ダイヤモンド(血のダイヤモンド)」と呼ばれ、それらを排除しようという動きが世界的に広まりました。

違法な取引が行われないために

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ダイヤモンドの違法取引が深刻化する中で、ダイヤモンドの取引市場はこの問題を重く受け止め、ある政策を打ち出すことにしました。その政策が、「キンバリープロセス」です。

キンバリープロセスとは、取引されるダイヤモンドに「産出国の証明」を義務付ける制度を指します。国際的なダイヤモンド取引市場からブラッド・ダイヤモンドを根絶する目的で制定されたキンバリープロセスは、2003年1月に施行されました。施行されてからというもの70カ国以上の国がキンバリープロセスに加盟し、ブラッド・ダイヤモンドの根絶を願って今日も世界中でダイヤモンド取引が行われています。もちろん、日本もキンバリープロセスの加盟国の1つです。

キンバリープロセスの徹底したルール

キンバリープロセスに加盟すると、ダイヤモンド取引を行う際、「紛争地などで採掘したダイヤモンドではない」という証明を納品書に添付する必要があります。この証明は「キンバリープロセス証明」と呼ばれ、何者かによって不正に開封できないような封書に入れられ販売店まで送られます。とはいえ、販売店が消費者に対してキンバリープロセス証明を提示する義務はないため、消費者がその証明を目にすることはほとんどありません。

ブラッド・ダイヤモンドを無くすために……

ダイヤモンド取引市場でブラッド・ダイヤモンド証明が義務付けられてからというもの、違法に取引される「ブラッド・ダイヤモンド」は確実に減り続けています。

婚約指輪に多く用いられ、人を幸せにするためのダイヤモンドが、人を不幸にするための資金源にはなってはならない……。今日も、ブラッド・ダイヤモンドの根絶が世界中で願われています。

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